第5章 仕事とはなにか
前回までのあらすじ
タール村に住む、優しい青年クウ。彼は皮製品を売る仕事をしていたが、段々と自分の仕事の意義を見い出せなくなっていた。
そんな時、学校で教師をしているケーと出会い、まずは自分の好きなことを思い出すことを指摘される。一時期は好きなことよりも、もっと役に立つことに専念した方がいいかとも思うが、まずは好きなことを継続することを決意する。
できていない自分を受け入れ、それでも前に進もうとしている。そんな中前回は、自称占い師のダーヨと出会う。実は昔は敏腕大臣であったが、今は身を隠し、占いという体で人々にアドバイスをしている。ダーヨからクウには”主人公感がない”と指摘され、クウは全てを自分ごととして捉え、積極的に物事に当たっていくようになる。
今回、久しぶりにケーに出会えて、その件の話をシェアしているようだ。
新たなる疑問
「ふうん、そんなことがあったんですね」
ケーはクウから話を聞いて、そう言った。主人公感。確かにそれは自分の人生を主体的に進めていく上で、非常に参考になる話であった。
クウはケーと、いつもの小川の側に座っていた。朝の7時。ようやく日が出始め、あたりが明るくなってきた頃だった。
実はケーは、休日は子どもたちが朝寝ている間、この小川の側でぼ〜とするのがルーティーンらしく、それを知ったクウは、そこに合わせるように訪れるようにしていた。
毎週やると、ケーも嫌がるかもしれないから、少し間をあけ、なにか話したいことがあれば、休日のこの朝の時間帯に訪れるようにしていた。
そして、ある休日の朝、クウはいつもの小川の側を訪れ、ケーと出会い、先日出会ったダーヨの話をしたところであった。
「有名なかたなんですね、あいにく僕は知りませんでしたが・・・。そういう人に会えるなんて、クウ君は運がいいですね」
本当にそうだ、とクウは思った。そんな高名な人に出会えて、アドバイスなんてもらえるなんて、ありがたい話である。それにそのアドバイスが非常に的を得ており、参考になった。クウはダーヨに非常に恩義を感じた。
しかしまたクウの頭の中には、新たな疑問が浮かび上がってきた。それは何のために仕事をするのか、ということだった。
何のために仕事をするのか
今までクウは、なぜ仕事をするのかと言ったら、絶対的に「食っていくため」と思っていた。
仕事をして働き、お金を得る。働かざる者食うべからずと、教わってきた。役に立って初めて、生きる資格があると思っていた。
だからぐうたらと働かず、頑張らなければ、一銭も入ってこないのは当然のことだし、働かず遊んでいる人を憎んでさえいた。クウ自身は非常に頑張って汗水流して働いているのに、何もせず酒を朝から食らっている人を見たら、ムカムカしていたであろう。クウは労働に対し、生きるためにするものという認識が強かった。
そのため、仕事は「やらなければいけないもの」という印象があった。嫌でも歯を食いしばってやり通さなければならない。それが責任というものだ。それが自分に割り振られた役割だ。それを果たせないのは自分の力量不足だ。誰かの迷惑になってはいけない。迷惑をかけてはいけない。ある意味呪縛のようなものがクウの頭の大半を占めていた。
そんなクウも、ケーやダーヨとの出会いの中で、徐々に変化しつつあった。
まず、好きなことを見つけた。クウの場合は絵を描くことだった。そしてそれを今も継続している。なんだかんだ、ケーと出会って、1年ほどが過ぎようとしていた。
そしてできていない自分を受け入れ、最近のダーヨからのアドバイスによって、物事を主体的に取り組むようになってきた。非常に良い変化だと、クウは自分としても満足していた。
本当はずっと絵を描いていたい。でもそれは不可能であった。なぜなら絵を描くことで、一銭も稼げていないからだ。妻と子どもがいるクウにとって、それは致命的であった。絵を描くことは趣味。仕事として皮製品を売って、お金を得る。その空いた時間の中で、趣味の絵を描くというのがクウの中の時間の使い方だ。
こうなってくると、本当は絵を描きたいのに、それを拒むような形で仕事の存在が邪魔をしてくる。大好きな時間を妨害する、邪魔者に見えてくるのだ。
クウはタール村から少し離れた、コンコルド街にある、皮製品を作る工場の、「チョウリ」というところで働いていた。そこで作られた皮製品を、近くの村に売りに行くのが仕事だ。
仕事は安定しており、そこで働く人もいい人たちばかりだ。クウは自分はなんて恵まれているんだろうと思っていた。
しかしその一方、絵を描くことに非常に心惹かれている自分がいることを知っていた。皮製品を売る仕事は素晴らしい仕事であると思っていた。人の役に立てる立派な仕事だと。しかしそれでもクウは自分の中で嘘をつけなかった。チョウリでの仕事より、絵を描くことが何倍も何十倍も楽しかったということを。
仕事をするのはお金を稼ぐためと割り切ってしまうと、チョウリでの仕事が非常に淡白なものに思えた。チョウリの中ではもっと自分たちの皮製品を一生懸命売ろうと、熱心に働いている人が多くいた。
そんな中、自分は二足のわらじを履いたように、本当は絵を描きたいと思っている。また、クウの妻も働いていたので、子どものことや家のことも半分半分で行っていた。そのため、なにか家の都合で仕事に穴を開けてしまうことも時折あった。
そういうことがあると、十分チョウリに対し貢献できていないことで、自分を責めることもあった。なんだか本当は好きな子がいるのに、違う女の子と付き合っているような気持ちだった。その付き合っている子にそもそも失礼だし、自分はどこかで踏ん切りをつけなければいけないと、常々クウは思っていた。しかし、職を変えるとなるとリスクも伴うし、子どもたちの将来を言い訳にして、何も行動に移せなかったのである。
「クウ君、何やら顔つきが険しいですよ」
そう、ケーに言われて、クウは苦笑いをした。
「すみません、また違うことで悩んでいまして。仕事のことなんですがね」
「どうぞ、話してください」
ケーは優しい笑みを浮かべ、クウの話を聞く体勢を作ってくれた。クウはありがたいという気持ちで心が満たされるのを感じつつ、話し始めた。
「仕事のことなんですがね、この後どうして行こうかと考えているんです。ぼくはありがたいことに、自分の好きなことを見つけることができました。世の中が変わったみたいに、今は楽しいです。でも苦しいことも増えました。それは仕事に多くの時間を使ってしまい、本当にしたい”好きなこと”ができないことです。仕事って何のためにやっているのかなって、元気がなくなっちゃうんです。もちろんお金を稼ぐためだと思っていますが、それだけだと、もう、モチベーションが維持できなくなっているんです」
「なるほど、本当はやりたいのに、それがやれてないことに対し、モチベーションが低下しているんですね」
ケーはコンパクトに要約してくれた。そう、クウは、本当はやりたいことができていないため、やる気が低下していたのだ。
「もしかすると、クウ君は、”生きるために必要な要素”の話をした方がいいかもしれないですね」
「生きるために必要な要素・・・ですか?」
生きるため、そのためにはお金があれば大丈夫なのではないのか。
ケーは2回軽く咳払いしてから、”生きるために必要な要素”の話をしてくれた。
生きるのに必要な5大要素
「結論から先に言うと、生きるために必要な要素は5つあります」
「5つですか・・・」
予想より多かった。そう、クウは思った。
「僕がキャンプの師匠から教わった話です。かなりサバイバルチックな話です。まず何よりも生きる上で必要なもの。クウ君はなんだと思いますか」
サバイバルチックなものだろう。そうしたら水と食料か。クウは思った。
「水と、、、食料ですかね?」
「正解です。ただ、優先順位的にはもっと高いものがあります。実はそれは空気なんです」
「空気・・・!確かに」
当たり前すぎて気付かなかったが、言われてみれば当然である。人間、空気が無ければ窒息してしまう。ケーは話を続けた。
「空気が必要な要素として第1位で、実は次は水ではありません。体温なのです。急激な寒さ、暑さに人間は非常に脆いです。体温が調整できないと死に至ります」
確かに、そういった意味だと、あたたかい服、あたたかい家は非常に重要なものだと、クウは思った。
「その次、第3位が水です。第4位が火、第5位が食料です」
食料が一番最下位だったのが、クウにとっては意外であった。
「サバイバルでは「3の法則」と言ったりするのですが、
- 空気がないと3分
- 体温が維持できないと3時間
- 水がないと3日
- 食料がないと3週間
しか人間は持たないと言われています」
3の法則、覚えておこう。クウは頭の中に深く刻み込んだ。
「そして第4位の火ですが、これはちょっと特殊なものです。実は他の4つがあれば、生物としては生きてはいけるのですが、火がないと色々と不便ですよね。水を沸騰させて安全にしたり、料理を作ったり、暖を取ったりできないですからね。でも火は精神を落ち着かせる効果があるんです。焚き火をして、ゆらめく火を見ていると、たった一人でも精神が落ち着いてきます。気が狂ってしまったりするのを抑える効果があると言われています」
確かに、一人で島に取り残され、水や食料があっても一人であれば、なんと孤独だろうか。それを癒してくれるのがゆらめく火なのであろう。
「そしてここからが僕の考えなのですが、火が持つ要素、つまり”ゆらぎ”が、人生にとって、いえ、人間が生きる上で、非常に重要な要素なのではないかってね」
ゆらぎ。揺らいでいるというと、あまりいいイメージをクウは思っていなかった。フラフラしていて、安定感がなく、いかにも頼りなげだ。そんなものよりも、もっとガッチリと固定化されている方が、安心感がある。
「ここから、クウ君の悩みである、モチベーションの話につながっていくと思うのですが、つまり、人間、生存できるだけの水と食料、衣服に住居が手に入ったら、正直”生物”としてはゴールに辿り着いてしまっていると思うんです。長年、生物の目標や夢は、安全なところで、お腹いっぱいご飯を食べることでした。今までは猛獣に怯え、食料の確保にも困っていました。病気にもなります。しかし今の僕たちの生活はどうでしょうか。仕事もあり食うに困っていない。戦があるわけでもない。医療も充実している。生物としては、天国のような世界に、僕らはいるんです」
確かに、ケーの言う通りだ、クウは思った。言われてみればぼくたちは何と幸福な世界にいるのだろう。外敵からの攻撃もなく、食うに困っていない。タール村には大きな病院はないが、近くのコンコルドまで行けば大きな病院がある。クウの場合は奥さんもいて、可愛い子どももいる。言われれば言われるほど、なんて自分は恵まれているのだと思う。その中で、仕事が嫌で、好きなことだけしたいと言っているようで、段々とクウは恥ずかしくなってきた。ケーは話を続けた。
「ゆらぎの話に戻しましょう。つまり、どういうことかと言うと、人間は生物としてのゴールに辿り着いてしまったが故に、自分たちで新しいゴールを作り出す必要が出てきたのです。それはやりがいとか天職とか使命とか、時と場合により、呼び方は変わります。ただ、そう言ったものの存在を新しく創造する必要性が出てきているんです」
こんな話を、ケーは子どもたちにもするのだろうかと思いながら、クウは話を聞いた。
「その目標はどういったものにすれば良いか。それは個人が決めて良いですし、決めるものです。その目標は自分で決めて良いので、変えても良いです。誰かが答えを持っているものではない。そもそも答えがないものなんです。そういう不確かもの、それがゆらぎです。そういった不確かなものが生きる上では必要なんです」
ケーは真剣だった。クウは今、ケーが話してくれたことを、まとめようとした。
「ケーさん、お話ありがとうございます。5つの生きる上での要素、大変参考になりました。そして火、ゆらぎの話ですね。ゆらゆらとゆらめいて、不確かなもの、流動的なもの。そう言ったものがないと、つまり安定した状態が長く続くと、人間はそれに耐えられないと言うことなんですかね。でもそれはわかります。ぼくの今の状態も、好きなことがあるのにそれができない状態がずっと続くと思うと嫌になります。人間は変わらないとじっとしていられない性分なのかもしれません。
そして、人類としての目標を、自分で設定しなければいけない時代。確かにそうだと思います。何か生きる上でのやりがいが見つからず、このままの生活が何十年も続くと思うと、人間は希望を見出せず、心を病んでしまうのだと思います。だから変化を起こさせるもの、それが目標の設定なんでしょうか」
ケーは満足そうに笑って答えた。
「クウ君、素晴らしく良くまとめてくれて、ありがとうございます。本当にクウ君の言うとおりで。本当にクウ君はまとめるのが上手だと思います。
そうです、目標というものがないと生活に張り合いが出ず、元気が出ません。そのために目標を定めることは非常に重要なんです」
ケーはここまで話すと、持ってきていた竹の水筒から、水をぐいっと飲み込んだ。
目標設定の方法
「ですが、どうやって目標設定をすればいいんですかね。ケーさんはこれに対し、何かアドバイスはありますか」
そうですね・・・とケーは言ってから、少し考えてから言った。
「クウ君の目標というか、夢というのは、その、絵で食っていくとかそんな感じなのですかね」
「そうですね、それができたらハッピーだと思います。いわゆる好きなことで食っていくってことですね。ちなみに休みを使って、旅に出られたらと思います」
「なるほど。絵で食うことができて、ちょこちょこ旅にも行きたいって、そんな感じですね」
言われてみると、何だかチンケな夢にも思えてきた。しかしクウはなるべく自分を否定しないように気をつけた。
「あ、あと、やっぱりぼくから見ると、みんな、やりたくない仕事を、嫌な顔をしてやっている大人が多い気がするんです。食べていくために仕方なくやっているんだってね。そういった世界ではなくて、もっと生き生きと、自分の好きなことで誰かの役に立って、幸せな人生を送る。そんな人で溢れる世界になって行けばいいなとも思っています」
クウは自分の夢を付け足した。
「なるほど、それはどちらかというと、自分が、というより、周りが、っていうものですね。
ではまず最初の絵で食っていくっていう話。それはお金で言うと、どれくらい必要ですか」
「そうですね・・・、お金で言えば、一年で500万リラあれば、十分だと思います」
「月で言うと、どれくらいでしょう」
「月だと40万くらいだと思います」
「週で換算すると?」
「週だと、10万くらいですね」
「では日だと?1日だとどれくらいしょう」
「1日だと、休む日2日間を抜くと、2万リラくらいです」
そう言ってから、クウは天を仰いだ。1日で2万リラ!どうやって稼げばいいか検討がつかなかった。例えば絵を1枚描いて、それを2万リラで売って、それを毎日続ける。しかし自分の絵が毎日売れるとは到底思えなかった。
「おそらく今、クウ君はそんなの無理だ、とかどうやってやればいいか検討がつかない、と思いましたね。もう無理だと思った瞬間、試合終了です。その夢は永久に叶いません。もうだめだ、できっこないと思った瞬間、夢は叶わない。そう肝に銘じてください。」
ケーは厳しく真剣な目でクウに言った。静かに、しかし力強く、クウは首を縦に振った。
「逆に1日に2万リラ、絵で稼ぐことができれば、クウ君の夢は達成です。目標設定をするときは、自分の大きな目標をまず数値化する。そしてそれを年単位から月単位、日単位と粒度を細かくしていく。そうすると、毎日何をすれば良いかが明確になり、夢の実現にグッと近づきます」
ケーは力強い笑顔で、そう答えた。
どうすれば稼げるのか
「長くなりましたが、これで最後です。それはどうやって、1日に2万リラ、絵で稼ぐか、です。今、クウ君はその策が思い浮かんでないと思います。そして僕も・・・」
次の言葉をクウは待った。ケーは静かに続けた。
「その策はありません。皆目検討がつきません」
ガクッと、危うく首を折りそうになってしまった。何か稼ぐ上での秘訣を教えてくれるかと、クウは思っていたのだ。
「僕は商売のプロでも、絵のプロでもありません。一教師です。ですが大切なことはそれを自分で考えるということだと思います」
「自分で考える・・・ですか」
「そうです。どうやったら1日2万リラ、絵で稼げるのか必死になって考える。どうすれば人はお金を払うのか、自分はどういう時にお金を払いたいと思うか。どうするとお金を払いたくなるようになるのか。ひたすら勉強するといいと思います。そしてそれを毎日続ける。それが稼げるようになる何よりの近道だと思います。
最後におまけです。人はどういう時に価値を感じ、お金を払いたくなるかということです。人は驚いたとき、感動した時に、”すごい”と思います。”すごい”ものには、滅多に会えないので、価値を感じる動物です。”すごい”ということをキーワードにするのも良いでしょう。
あとはその人が不足しているもの。目に見えるものはおすすめしません。目に見えるものはわかりやすいので、王様やお金持ちたちが、すでにその市場を独占しています。おすすめは目に見えないものです。目に見えないからゆえ、王様やお金持ちたちは気付いていません。だから狙い目です。目では見えないもの。例えば安心感や愛情、賞賛など、人間がどういったことをされたら嬉しいのかを、ひたすら観察することです。商売は人を相手にするのですから、人のスペシャリストになる必要がありますよね」
目に見えないもの。これも重要なキーワードだなと、クウは感じた。
「クウ君は、心のどこかで、自分が描いた絵を、どこにでもある、ただの普通の絵を思っているんじゃないですか。そう思っていると、必ずそれは相手にもバレます。自分が価値を感じていないものは、相手も価値を感じません。もしかすると1000回やったら1回くらいは価値を感じてくれるかもしれません。ただそれは運次第なだけで、効率も非常に悪いです。継続は難しいでしょう。そこを見込むべきではないです」
クウは一言も漏らすまいと思い、ケーの話を聞いた。
「自分が欲しいもの、価値を感じるものを、発明するのです。新しく、この世にないものを作り上げる。ただ、もう実は世の中にはあるのかもしれない。クウ君が知らないだけかもしれない。でも作り続けるんです。毎日、毎月、毎年、諦めず。自分の夢に向かって。
もしかしたら、叶わないかもしれない?それはもう思わないって、さっき言いましたよね?やり続ける。自分の夢のために。それが人生です」
とんでもない話を聞いてしまった。クウは思った。なんて価値のある話なんだ。
「ケーさん、これはお世辞ではなく、素晴らしい話すぎて、お金を支払いたいくらいです」
「ははは、僕はどこかで、クウ君の欲しいものを提供できたようですね。もちろんお代は結構。まずはクウ君には、生きていくだけの十分なお金を支払ってくれる職場があるのですから、そこはしっかりと真面目に働いて継続するべきだと思います。その上で、クウ君オリジナルの商品をいくつも作って、世に発表する。一人が価値を感じるものであれば、世の中に同じように価値を感じる人は必ずいます。そこからはその人にどう届けるかを考える段階に入っていきます。その人はどこにいるのか、何を求めているのか、どうすれば届けられるのか。それを考えるのがいわゆる”集客”になっていきます」
クウは今日聞いた話をまずはメモに残し、何遍も振り返ろうと思った。そして途中から感じていた質問をすることにした。
「ケーさんはなんで、こんな商売のことに詳しいんですか。学校の教師をされているんですよね」
「僕は学校で教師もしていますが、自分で作ったアクセサリーの販売もしているんです。もちろん学校の許可を得てね。そのアクセサリーを販売する上で、いろいろな人から教わったエッセンスを、クウ君にもシェアしたというわけですよ」
なるほど、それで合点が行った。それにしても、ケーも色々と幅広くやっているなぁと、クウは思った。
今日ケーから聞いた話は良い情報が多すぎた。まずは自分で稼いでみる。そして夢への第一歩を踏み出す。クウはやっと人生の、スタートラインに立った気がした。
クウは、レベルが上がった!
以上
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