(110) 著作権と自分らしさ

ぼくは今、著作権について興味があり、調べたり勉強したりしている。

これはぼくがサラリーマンで、基本的には会社からの指示に従い、仕事をしている。

また結婚して子どもができて、夫・父親となると、その役割に基づいて行動をすることが多くなり、なんとなく”自分らしさ”みたいなものより、規範を大事にしている自分がいることに気付いた。

そういった背景もあり、自分らしさとは何かということについて、考えることが多くなったのだが、ひょんなことから著作権について調べる機会を得た。

写真もやっているので、被写体の肖像権などについても少し調べていたのだが、それよりも著作権というものは、作った人の権利のことである。そして著作権については、表現の自由に基づくものであり、それが自分らしさにつながるような気がして、多分興味を持ったのだろうと思う。

今回は、その勉強した著作権について、まとめの意味を込めて記載したい。

著作権の成り立ち

諸説あるので本当のところはわからないが、文化庁が出している「著作権テキスト〜初めて学ぶ人のために〜令和2年度」によると、著作権の保護は15世紀中頃の印刷術の発明によるところが大きいとある。

最後に参考文献は記載するが、法政大学社会学部の准教授の白田秀彰さんが、修士の時の論文で元は書かれた、「コピーライトの史的見解」も参考にすると、おそらく、グーテンベルクの活版印刷の技術革新により、今まで複製が難しかった本が、簡単に複製できるようになってしまった。そしてルターやカルバンによる宗教改革で、ラテン語で書かれて読みづらかった聖書を翻訳、そしてこの活版印刷で大量に聖書を印刷し配布。本来の聖書の意味を説くのに寄与した。

一方聖書以外の本も簡単に複製できるようになった。当時のイギリスは、ヘンリ八世により、カトリックからイギリス国教会に変えたところだったが、次のメアリ一世はカトリックに戻す。その時、変に聖書が出回ることを恐れ、本の著作権を制限するようになった。その出版権利をめぐって、印刷業界のギルドと、それを制御したい国の方でいざこざがあったようだが、変に各自が聖書関連の本を印刷してしまうより、ギルドに一任した方が収拾がつくということで、そういった出版権利や著作権、文書の権利のようなものが、1つに集約されていった。これが著作権の起源だという、ぼくなりの理解をしている。

ネットに出ている起源を調べると、活版印刷で、自分がせっかく書いた本が誰かに勝手に大量に印刷されてしまい、利益を得られなくなり、創作意欲がなくなるのを恐れて、そういった最初に創作物を作った人の権利を守るのが著作権の起源だという記事もあるが、ぼくは、白田准教授がおっしゃるように、そういった性善説に基づく発祥よりも、既得権益を守るために発祥した方が、真実味があるように感じる。

著作権の種類

最後に、簡単に著作権の種類や内容に触れて終わりたいと思う。

著作権については、言語、音楽、舞踊、無言劇、絵画、版画、彫刻やその他の美術、建築、地図、図面、図表、模型その他の図形、映画、写真、プログラムのことを範囲とする。

定義も何個かあり、上記の中でも、独創性があり、忠実に再現しただけでは創造性は認められない、表現の余地がなかったり、平凡な表現は創造性が認められずに、著作権は発生されない。

また、アイディアであってはだめでもある。アイディアは特許法とかにも関わってくると思うが、アイディアが保護されてしまうと、発展を妨げることになるため、アイディアであってはならないとある。

基本的に著作権は、自分が創作したものを守る権利であることが、一般通念として言えると思う。

そのほかに、著作者(著作物を作った人)には著作者人格権と著作権が、著作物を作った瞬間から、特に届けがなくても発生することや、その著作権の通用する期間など、色々と決まっているが、個人的におもしろいと感じたのが、二次的著作物に関することである。

二次的著作物とは、最初の著作物に対して、翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、翻案をして生まれるものを指す。

ここのおもしろいところが、原著作者(最初の著作物を作った人)は、二次的著作物に関しても、著作権を得るというところだ。なので、原著作者の権利や効果というのはかなり高く設定されている印象である。

あとは映画に関しては、二次的著作物にあたる可能性が高く、また複数の人間、会社で作られる場合が多いので、一番複雑な著作物なような気がしている。

今は説明できるほどに十分理解できていないが、こういった法律関連については、裁判での判例がとても勉強に役立つ場合が多いので、もしかすると、今後判例によって得られた知識をまたまとめるかもしれないが、今回はいったんここで閉じておくことにする。

以上

参考文献

文化庁「著作権テキスト〜初めて学ぶ人のために〜令和2年度」

白田秀彰「コピーライトの史的見解」

小泉直樹「特許法・著作権法」

小泉直樹、田村善之、駒田泰土、上野達弘「著作権判例百選」

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