なぜ「未満」はあるのに「未上」はないのか
最近、会計のことを少しまた勉強しており、その中で気になる部分があった。
子会社になる条件として、議決権を50%超保有していることとあったのだが、この「50%超」という表現である。
これの意味することは、株式を保有していたりなどして、その会社の決定権を多く持っている人がその会社を子会社化できるということだと思う。
だから、50%きっかりだとダメなわけだ。もしもう一人が50%議決権を持ったら、50対50で同点になってしまう。
51%でも、50.1%でも、50.001%でもいいから、50%を超えていないといけない。
このとき50%以上だと、意味を正しく表現できていない。なぜなら50%以上だと50%も含まれてしまうからだ。
これを見て、「未満」の逆の概念だなと思った。
未満とは該当数値を含まない、下の数値であることを意味する。
例えば、飲酒制限で、20歳未満という場合、20歳は含まない。これは別の言い方をすると、20歳以上はお酒を飲んでいいということになる。図示すると以下のようになる。
子会社化する条件の、議決権の50%超は、50%は含まない。これを上記の飲酒制限の例に当てはめようとすると、当てはまらないことに気付く。
つまり、50%=20歳とおくと、
20歳以上は飲酒OK=正しい、
50%以上は子会社化=正しくない となる。該当数値は含まず、それ以上となるような、未満の逆の概念、言うなれば「未上」が必要なのではないかと思う。
何を伝えたいかで変わる
これは未満とか以上とか超を、なんの目的で使うのかを理解すると、使い分けができると思う。
例えば先ほどの飲酒制限であると、これはお酒を20歳以上の人に飲んでほしいというのではなく、20歳にならないと飲んではいけない、つまり20歳未満は飲むなというメッセージを伝えたいわけである。
このメッセージのターゲットは20歳以上に向けてではなく、20歳未満の若者に伝えたいわけである。
だから、20歳以上はお酒OK!ではなく、20歳未満は飲酒禁止!と、「未満」の方を使っているわけである。
もう1つ例を出すと、小学生未満ジュース無料とかである。
小学生未満と聞くと、一瞬分かりづらいが、要は未就学児、保育園児や幼稚園児、またそれらにも通っていない子どもである。
これは未就学児に対して、ジュース無料ということで、その子どもたちを持つ親にアピールするのを目的とした文言だと思う。
例えばこれが、小学生以上は大人料金です、だとどうだろう。
文字通り小学生になると、今まで子ども料金だったり無料だったのが、大人と同じ料金が発生するわけだ。ここからは、小学生になったらお金を払ってね!という強いメッセージを感じる。
つまり何が言いたいかというと、未満とか異常とか超とかは、その言葉を使って何を伝えたいか(※1)で変わってくるのではないかと思う。
未上が不要なわけ
では最初に戻って、「未上」という概念がなぜ不要なのかの話をしていきたい。
まず前提として、小数点は考えず、整数で考える。先ほどの飲酒制限の例で、数式と、n=年齢とおく。
n<20の場合、飲酒はNG。20≦nで、飲酒OKと書くことができる。
ここでたとえば20<nという概念が出てくれば20歳は含まず、それ以上の数値となるため、「未上」の考え方が出てきてもおかしくはない。しかしその概念は使われない。なぜだろうか。
それは上述の※1で記載した、「その言葉を使って何を伝えたいか」を考えると紐解けると考える。
つまり、飲酒制限の場合、20歳未満はお酒を飲んでほしくないのである。数式で書くと、n<20が大事なのである。20歳以上は好きにしてください、20歳でも、21歳でも22歳でもそこからは自由である。
だから、伝えたいメッセージは、n<20と20≦nで網羅されるため、ここにあえて21<nを登場させる必要はないのである。図示すると以下となる。
ではなぜ、「超」という概念は必要か
ここまでで、「未上」という概念は、2つの数式を使うことで、不要となることを話してきた。しかし冒頭の子会社化の例のように、該当数値は含まないが、それ以上のことを伝えたい時に表す文字「超」という概念は存在する。「未上」と「超」は何が違うのか。
これは、数字という無限の中で考えるか、%という有限の世界で考えるかで使い方が変わってくる。
数字という無限の中では、飲酒制限のように、n<20と20≦nを使えば、21<nのような「未上」の考え方は必要ではない。これは数字を横軸として捉え、ある数字を分岐点として左と右として考えているからだ。
しかし%は違う。横軸ではなく円で捉える。あまりいい例ではないが、この世の中にダイヤモンドが100個しかないとする。これで一番誰が多く持っているかを競うとする。また1位は一人だけとする。
この場合何個持っていれば1位になれるか。 そう、51個である。別の言い方をすれば、50個超である。50個だと、別の誰かが50個持つと、一応1番であるが、一人ではない。
子会社化の議決権も同じ。50ではダメで50超でなければいけないのだ。そうしないと、ナンバーワンかつオンリーワンにはなれない。
ダイヤモンド100個のように、有限世界で考えるときに、該当数値を含まず、それ以上であることを表現する必要性が出てくるわけだ。
過半数という言葉も同じ意味である。100人議員がいて、その過半数となると、半数が50人だからそれを超える人数、つまり51人となる。(人は0.5人とか小数点表現はできないため)
だから、未満の反対語はなにかと考えた時は、「超」とか「過半数」とかの概念を思い浮かべると理解がしやすいのだと思う。
以上
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