ぷーんに著作権はあるのか

私はYouTuberの瀬戸弘司さんが好きです。

ちなみに「せと こうじ」さんと読みますが、同名で「瀬戸康史」さんという俳優さんもいます。

確か有名な女優さんと結婚された気がしますが、そちらの瀬戸さんではなく、あくまでYouTuberの瀬戸弘司さんのことです。

ぷーんとはなにか

瀬戸さんの持ちネタで「ぷーん!」と言いながら、ものをふざけて投げるギャグがあります。

そして「ぷーん」と言っているキャラクターもご自分でイラストを描かれています。

そのイラストが描かれたTシャツが過去販売されていたことがあります。それがこちらです。

なんなのでしょう。犬なのかクマなのか、どちらにせよかわいいイラストだと思います。

それに何より書きやすい。自分でも書いてみると、以下のようになりました。

なんか違う気がする・・・。

ということで2枚目、3枚目と書いてみました。

簡単そうに見えて、意外に難しい・・・。私の絵心がないという根本的な問題はあるかもしれませんが、意外に似ないという結果になりました。

しかし一方、このクマのキャラクターに「ぷーん」と書いていれば、瀬戸ファンであれば、「あ、瀬戸さんのぷーんだ」ということはすぐわかると思います。

このとき思ったのですが、この「ぷーん」には著作権が発生しているかという点です。

著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」と、著作権法には書かれています。

著作物の定義については、以前動画にもまとめたのですが、鍵となるのは、「創作的であるか」そして「表現しているか」、この二つがポイントになってくると考えます。

ぷーんというこのイラストは、果たして、著作物となるのでしょうか。

過去の判例から見てみる

まず過去の裁判所の判例を見てから、この問題を考えたいと思います。

タウンページ・キャラクター事件

まずはタウンページ・キャラクター事件です。こちらはタウンページのキャラクターが、著作権侵害で訴えられた事件です。

両方とも本を擬人化したキャラクターという点では同じですが裁判所は、本を擬人化するというのはアイディアであって、著作権法で保護される範囲ではないとし、著作権侵害を否定した裁判でした。

ここではいくら一見似ていたとしても、アイディアから想起される結果が、表現の振れ幅として狭いものであれば、それが似通っていても、著作権侵害にはならないという結論なのだと思います。

ポパイ・ネクタイ事件

これは難しすぎて、まだ私も全く十分に理解できていません。

要するに、漫画のポパイの絵を、勝手にネクタイに印刷して販売した会社を、著作権者たちが訴えた事件ですが、第1審は、確かに侵害しているねとなり、原告の請求を認容しました。

しかし控訴審において被告は、ネクタイの図柄はポパイの連載1回目であり、著作権の保護期間は過ぎていると言って、著作権の行使は認容されないと主張しました。

これに対し控訴審判決においては、この漫画は連載漫画であり、「逐次公表して完成する著作物」として、一連の連載が終わった日から保護期間を数えるべきだとし、そうなるとまだ保護期間内であったので、Yさん、勝手に売ってはいけないね、という結論に落ち着いたという話だと思います。

ここでは、いろいろな話が絡まり合っている感じがしますが、要点は、ポパイという漫画を、連載漫画として、二次的著作物としてどう捉えるかというところかなと思います。

そしてここで話題になったのが、裁判所の「キャラクターは著作物ではない」とも読み取れる文言です。

これはとどのつまり、キャラクターとは人物像や設定のことであり、著作物となる前の、思想又は感情の部分であると。その人物像には著作物性がないと言っているだけで、キャラクターと言って普通は想起される、ミッキーマウスやキティちゃんのようなイラストに著作物性がないとは言っていないのです。

ぷーんに果たして著作権は

ここまで見てきて、ポパイ事件から、別にキャラクターのデザイン自体に著作権が認められないということはないことがわかりました。

あとはこのイラスト自体が、「思想又は感情を創作的に表現したもの」であるかどうかという点です。

動画でも解説しましたが、①思想又は感情、②創作的、③表現、この3つに分けて考えてみましょう。

瀬戸さんにどのような考えがあったかわかりませんが、仮に、面白くてかつかわいく、人気が出そうなキャラクターを作りたいという思想があったとしましょう。これで「①思想又は感情」の部分はクリアです。

次に「②創作的かどうか」。動画では試行錯誤を繰り返したかどうかを、独自の判断ポイントとしましたが、かなり簡単に描けてしまうので、試行錯誤したかどうかは若干の疑問が残ります。

しかし瀬戸さんの過去の動画で、こんなコメントをしていました。これは新作のTシャツを販売する時の動画だった覚えがあります。Tシャツは何度も販売されており、その都度新作の「ぷーん」がTシャツの中央に印刷されるのですが、このように発言していました。

「ぷーん」も同じように見えるかもしれないけど、実はちょっとずつ違うんだよ

ここから瀬戸さんのぷーんに懸けるこだわりを感じることができます。

他の人から見たら一緒に見えるかもしれませんが、瀬戸さん自身には細かいところでは違うように見えているのかもしれません。今まで何百回とぷーんは描き続けてきたのでしょう。そこにはこだわりが感じ取れ、今までの瀬戸さんの試行錯誤した軌跡を感じます。

そのため、創作的もクリアしていると言えそうです。

最後に「③表現」ですが、これはイラストとして表現されているので、当然クリアしています。

結論、ぷーんの絵は著作物として認められそうです。しかし認められるということは著作権として守られることになるので、勝手に同じ絵を描いてはいけなくなります。

先ほど私が描いた3枚の絵も、著作権侵害だと言われる可能性が出てきてしまいます。

こうなってくると、タウンページ事件のように、思想又は感情を表現する幅が狭すぎたとして、類似性は認められず、著作物としても認められない可能性も出てきます。

しかしクマと、勢いを出すための3本の線までは誰でも描く可能性がありますが、そこに「ぷーん」という文字を誰もが入れるということはないと思います。イラストと文字を組み合わせるのは創作的と認められるかもしれません。

そのため、この「ぷーん」という文字をイラストと一緒に入れることで、著作物として認められる可能性が高くなるように感じます。

結論、「ぷーん」は、イラストと文字を組み合わせることで、創作的に表現したと言っても認められるのでは、というのが私の考えです。

こちらの記事は、専門家でもなんでもない私が、自学自習で学んだ内容のアウトプットする場として、ブログで書いているものです。中身に信憑性はありませんので、ご留意ください。一人の一意見としてお捉えください。

リンク、参考文献

  • 著作権判例百選 第六版 小泉直樹・田村善之・駒田泰土・上野達弘 有斐閣
    P.158、159 「78 二次的著作物の保護期間」
  • 法学教室 2007 Apr No.319 有斐閣 P.162
  • 【著作権】創作性とはなにか https://www.youtube.com/watch?v=TYwsh-_A92k&t=3s

それでは今回は以上となります。

ありがとうございました。

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